医療のウェブ戦略、どう分析してどう改善すればいいのか
医療機関専門ウェブコンサルタントが医療、特にクリニックのウェブサイト分析についてポイントを解説します。
この記事の目的はクリニックの経営者はもちろんのこと、クリニック運営に関わる事務長・コンサルティング会社・ウェブ制作会社の皆さんのリテラシーを向上することです。
大変おこがましいこのような目的で記事をつくるのには2つ理由があります。
それは
企画段階で失敗しているプロジェクトが多い
この手の問い合わせが多いので事前に情報を共有しておきたい
この2つです。
医療のWEB戦略は他の業種に比べてシンプルです。それは、ITが進まない(進まなくてもよかった)業界なので他業種と比較すると全体のレベルが低いためです。
他業種ではもはや当たり前の基本中の基本の施策や使い古された手法であっても十分効果を発揮します。
特定領域に特化したクリニックの増加や国民にとってインターネットがインフラ化していることなどを考えれば、「誰に」「どの情報を」「どうやって」届けるのかを戦略的にデザインすることが、今後医療でも当たり前になっていくでしょう。
しかし今はまだ従来の「とにかくいい診療を行っていれば患者が増える」という考え方のクリニックがほとんどです。
前置きが長くなりましたが、簡単な解説をはじめます。
ホームページの改善のためにまずやるべきこと【現状分析】
ケース:「内視鏡検査・内視鏡手術の患者を増やす」ことを目的としたプロジェクト
まずは今のウェブサイトが目的に対して最適な状態か調べます。
対策してるキーワードはなんなのか。またそのキーワードに対しての施策は最適かどうかを、競合となるクリニックと比べ相対的に評価していきます。(タイトル・ディスクリプション・Hタグ・キーボード頻度)
Googleサーチコンソールのレポートがあれば「なんという検索キーワードでウェブサイトが何度表示され、その内の何%が実際にクリックしているか」が分かります。
それが分かることで、例えば「ある程度の表示回数があるにも関わらずクリックされていない(クリック率が低い)」という風に課題を発見することができます。
【実際にクリック率が低いときの解決方法】
クリック率(CTR)に関わるのはタイトルとディスクリプションなので、この2つを検索キーワードに最適な状態に改善しましょう。
どのように考えるかというと、例えば「白内障」という検索キーワードで表示されているのにも関わらずタイトルが「緑内障の専門家」でディスクリプションが「緑内障についてのサイトです」だとクリックされません。また、一緒に表示される競合のタイトルとディスクリプションも確認しましょう。
比較されたときに、選ばれるようにサイトのポジションを考えましょう。
マーケットの規模を知り対策キーワードを選定【市場分析】
前提:「内視鏡検査・内視鏡手術の患者を増やす」ことを目的としたプロジェクト
対策するキーワードを検索市場を参考にしながら決めましょう。
よくあるのが「私は経鼻内視鏡が得意だから経鼻内視鏡というキーワードで上位表示を目指そう」というようにドクターがどう思うかで対策するキーワードを決めているパターンですが、このような決め方では最短距離で効果にたどり着くことはできません。
複数のキーワードに対して同時に対策することは難しいため対策キーワードは慎重に決めましょう。
では、どのように対策キーワードを選定すればよいのかというと、「検索ボリューム」と「競合サイト」からキーワードごとに検索上位表示難易度・見込流入数・売上の仮説を立てていきます。
検索キーワードの例)
キーワード「内視鏡」:検索ボリューム「90」 競合サイトの対策レベル「低」
キーワード「胃カメラ」:検索ボリューム「210」 競合サイトの対策レベル「高」
考え方の例)
「胃カメラ」の方が検索されているがこのキーワードの上位表示サイトはしっかり検索対策を行っている。つまりクリックされる位置にくるまでに時間とコストが大きくかかる。今回の予算や求めているスピードを考えると、「内視鏡」というキーワードのほうが勝算があるだろう。
どの程度のサイトをつくれば勝てるか【競合分析】
前提:「内視鏡検査・内視鏡手術の患者を増やす」ことを目的としたプロジェクト
競合サイトを分析しレベルを把握しましょう。
ウェブサイトは常に相対的に評価されるので「とにかくいいサイトをつくればそれでよい」というわけではありません。
先生が思う100点のサイトをつくっても市場の平均点が150点なら効果は期待できませんし、逆に市場の平均点が60点なら先生が不満足でも100点ではなく80点のサイトをつくれば目的は達成されます。
まとめ
目的を決め、その目的を達成するという点において最適かどうかで【現状分析】【市場分析】【競合分析】を行えば、どうするべきかを導き出すことがます。
もちろん「先生が気に入るサイトをつくる」というような個人の感情や感性が目的になるプロジェクトもあります。その場合、このような一連の分析は不要です。
しかしウェブ制作のプロジェクトのほとんどには経営上の目的があります。そういった目的を達成するために根拠に基づいた戦略立案を求めている方の助けにこの記事がなれば幸いです。
プロの手を借りたい場合は問合わせフォームもしくは公式ラインからお問い合わせ下さい。
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